Music
卒業
84年、3月15日
18歳の尾崎は、新宿ルイードで初ライブをおこなう。
その日は、尾崎が退学した青山学院高等部の卒業式と重なる。
その日、尾崎がステージで叫んだ
「自由でなきけりゃあ、意味がない。」
自由に生きるということは、
自分の考えで
生きるということ。
その日から、
ステージの上で、
尾崎は時代への 怒り、
熱い 自由への夢を真正面にぶつけていった。
尾崎は、最後のBirthツアーの最終コンサートのときまで、8年間、ステージで卒業を歌い続けた。
10代のころの、自由を求める行き場のない怒りは消えて、
時に、微笑みを浮かべながら、聴取を包み込むように卒業を歌う26歳の尾崎がいる。
人生は毎日がきっと壁を乗り越えていこようなものだと思う。
人それぞれ、違った悩みを抱えているだろうし、
誰もそれを背負ったりかばったり
言葉で言い表すことは出来るかもしれない。
でもそれを理解して乗り越えていくのは
やっぱり自分自身なんだろう。
時には....あきらめることで.....
(あきらめない!!! と、会場から声がとどく。苦笑する尾崎。)
何か一つ一つを確かめながら、
そしてそれを理解しながら乗り越えていくことがきっと大切なんだと思う。
そして、その物事を理解して
その壁を乗り越えたとき、
それを人生の中での
「卒業」
そう呼ぶんだろう。
(キーボードで、チャイムの音を再現する尾崎。)
君たちのこのチャイムは、きっと一生心の中で鳴り続けるだろう。
そして君たちの、「卒業」、、、ひとつひとつの「卒業」、、、が祝福されるように、
心をこめて、この曲を贈ります.....
26歳の、大人になった尾崎が伝えた、最後の卒業のメッセージ。
高校生のとき、リアルタイムにこの詩を書き、そして最後まて尾崎が大切に歌い続けた「卒業」には、
分かり合いたい。
理解したい。
自分自身で乗り越えたい。
激しさとうらはらな、繊細な尾崎の心が、見え隠れするようだ。
校舎の影 芝生の上 すいこまれる空
幻とリアルな夢 感じていた
チャイムが鳴り 教室のいつもの席に座り
何に従い 従うべきか考えていた
ざわめく心 今 俺にあるものは
意味なく思えて とまどっていた
放課後 街ふらつき 俺達は風の中
孤独 瞳に浮かべ 寂しく歩いた
笑い声とため息の飽和した店で
ピンボールのハイスコア 競いあった
退屈な心 刺激さえあれば
何でも大げさにしゃべり続けた
行儀よくまじめなんて 出来やしなかった
夜の校舎 窓ガラス壊してまわった
逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった
信じられぬ大人たちとの争いの中で
許しあい ったい何 解りあえただろう
うんざりしながら それでも過ごした
ひとつだけ 解っていたこと
この支配からの 卒業
誰かの喧嘩の話に みんな熱くなり
自分がどれだけ強いか 知りたかった
力だけが必要だと 頑なに信じて
従うとは負けることと言いきかせた
友達にさえ 強がって見せた
時には誰かを傷つけても
やがて誰も恋に落ちて 愛の言葉と
理想の愛 それだけに心奪われた
生きる為に 計算高くなれと言うが
人を愛すまっすぐさを強く信じた
大切なのは何 愛することと
生きる為にすることの区別迷った
行儀よくまじめなんて クソくらえと思った
夜の校舎 窓ガラス壊してまわった
逆らい続け あがき続けた 早く自由になりたかった
信じられぬ 大人との争いの中で
許しあい いったい何 解りあえただろう
うんざりしながら それでも過ごした
ひとつだけ 解っていたこと
この支配からの 卒業
卒業して いったい何解るというのか
想い出のほかに 何が残るというのか
人は誰も縛られた かよわき子羊ならば
先生 あなたはかよわき大人の代弁者なのか
俺達の怒り どこへむかうべきなのか
これからは 何が俺を縛りつけるだろう
あと何度自分自身 卒業すれば
本当の自分に たどりつけるだろう
仕組まれた自由に 誰も気づかずに
あがいた日々も 終る
この支配からの 卒業
闘いからの 卒業