解説 太陽の破片 (1988年6月21日シングルリリース)
1984年6月から1986年1月まで、3枚のアルバムを次々とリリース、
のべ90回以上の全国ツアーで尾崎は日本中をハードに駆け回った。
10代の尾崎は、コンサート活動のみという異例のかたちで多くの若者の支持を得た。
眩しいほどの勢いで尾崎は走り続けた。
そして、20歳をむかえた尾崎は、もう一度自分の心の在り方を見つめなおすべく、
無期限の活動中止を宣言し渡米、尾崎はファンの前から消えた。
1987年1月、尾崎は帰国した。
しかし、沈黙は続く。体制の中で、自由を見失ったままの尾崎、
レコードを出すことなく再びツアー活動を開始したが、瞑想する心の闇の中で、9月、尾崎は倒れた。
そして12月、逮捕。絶望は尾崎だけでなかった。ファンも絶望、失望を味わうことになる。
1988年、2月22日 釈放。
そして、その4ヶ月後の、6月21日、
12インチシングル 「太陽の破片」リリースすることになる。
それは、ファンに向けての自分自身の告白のように。
今後の、活動は何ら未定のまま、
尾崎は、再び第一歩を歩き始める。
心のベクトルは、人それぞれです。
好むもの、忌み嫌うもの、
その自分が抱いた感情に対して、どれだけそれに反応するか、行動するか、
違った反応の他者をどれだけ受け入れることができるか、
そんなことを深く考える人、考えない人、
すぐキモチを切り替えられる人、それが出来ない人、
他者の中の自分を思うとすぐ不安になる人、平気でいられる人
尾崎の、心のベクトルは、、、、
すでに、高校生の時期の作品にも表れているように、
感受性が鋭すぎて、問題意識を持ちすぎて、
深く考えすぎて、
すぐ不安になって、
でも、明晰な頭脳、美しい容姿、その才能ゆえに、
ときに行動は激しく、でも、、、心は弱く、
「受け止めよう」
尾崎の歌詞の中によく出てくる、
分かりえないことを乗り越えようとする尾崎の心の苦しさの言葉です。
心の弱さゆえに
人を愛したいと願い続けていたように思います。
自分の心の平和も、ひいては世の中の平和も、
人を愛することから始まると。
尾崎の忌み嫌ったもの、問題意識、その行動の激しさ、、、それに同じように共鳴することはできません。
でも尾崎だけの心のベクトル、
今は、それを受けとめて、尾崎自身を愛してあげたいと思うのです。